全国SLAの震災対応

最終更新日:2012年9月11日

(社)全国学校図書館協議会は、事務局内に「震災対応委員会」を組織し、東日本大震災で被災した学校図書館の復興及び子どもたちの心のケアに向け各県SLA、協力団体等と連携して援助活動を行っています。

お知らせ

  • 企業等への協力による図書寄贈の報告を掲載しました(下記参照)
  • 「学校図書館げんきプロジェクト」のお知らせを掲載しましたこちら
  • 「学校図書館復興のための募金」報告を掲載しました 1月31日現在(下記参照)

震災対応委員会

3月14日、全国学校図書館協議会内に震災対応委員会を設置しました。

委員長:対崎奈美子(全国学校図書館協議会参与 東京学芸大学非常勤講師)
ほか4名

「被災地学校図書館の復興を願って」(『学校図書館 2011年5月号掲載』)

震災対応委員長・対崎奈美子執筆。
委員会立ち上げにあたっての方針表明と、福島県双葉町の避難先となっている埼玉県加須市訪問の報告。

震災対応委員会の活動報告

被災地の情報収集

  • 現地訪問等
    4月7日:埼玉県加須市(避難先)
    4月9日~10日:宮城県・岩手県
    5月13日~14日:宮城県・福島県
  • 被災校調査
    岩手県・宮城県・福島県の各県SLAを通じて、各学校に今回の震災による被害状況、図書の希望の有無等を把握するための「学校図書館 図書寄贈の希望調査」を行いました。
    第一次調査(5月18日~)、第二次調査(9月28日~)の集計結果はこちら

図書の寄贈

  • 「塙保己一翁・夢プロジェクト」
    社団法人こだま青年会議所との共催により、7月9日の「第59回関東地区大会こだま大会」(主催:公益社団法人日本青年会議所関東地区協議会)内で募金と図書の寄贈を受け、希望する学校に対して図書の寄贈を行いました。また、当日の図書の仕分け・発送作業に関東地区SLAやこのホームページを通じてボランティアを募集しました。
    塙保己一翁・夢プロジェクト 報告
  • 募金を用いて図書を寄贈した学校
    ご協力いただいた募金を利用し、寄贈先の学校の地元書店で新しい図書を購入して寄贈を行いました。公表の許諾を得られた学校名のみ公表します
    ・2011年7~8月:10校
    寄贈先 仙台市立金剛沢小学校、登米市立佐沼小学校、登米市立横山小学校、登米市立石森小学校、登米市立石越小学校、松島町立松島第二小学校ほか
    ・2012年1~2月:35校
    寄贈先 釜石市立鵜住居小学校、釜石市立双葉小学校、仙台市立南光台中学校、石巻市立渡波中学校、大崎市立古川第一小学校、大崎市立鳴子中学校、亘理町立荒浜中学校、亘理町立逢隈小学校、女川町立女川第二小学校、いわき市立平第三中学校、須賀川市立稲田小学校、南相馬市立原町第三中学校、南相馬市立小高中学校、南相馬市立石神第一小学校、南相馬市立福浦小学校、南相馬市立鳩原小学校、南相馬市立小高小学校、南相馬市立真野小学校ほか
    今後の予定:「学校図書館げんきプロジェクト」という名称で、同様の寄贈を行います。
  • 企業等の被災地支援への協力
    株式会社講談社様より、「チャリティ企画"みんな元気になあれ"」による収益90万円を寄付していただき、岩手県・宮城県・福島県の小学校計34校へ、それぞれ図書約2万6千円分を寄贈しました。寄贈先は2011年に行った全国SLAの図書寄贈希望調査で希望があった学校から選択し、寄贈図書は寄贈先の地元書店より購入しました。
    「みんな元気になあれ」公式サイト
    寄贈先 大船渡市立立根小学校、同大船渡北小学校、同赤崎小学校、同末崎小学校、同綾里小学校、同吉浜小学校、釜石市立白山小学校、同双葉小学校、同小佐野小学校、同唐丹小学校、同栗林小学校、仙台市立東六郷小学校、石巻市立須江小学校、同万石浦小学校、同中里小学校、同住吉小学校、丸森町立耕野小学校、同小斎小学校、亘理町立荒浜小学校、同長瀞小学校、同亘理小学校、山元町立山下第一小学校、同坂元小学校、いわき市立平第五小学校、同平第三小学校、同江名小学校、同四倉小学校、同中央台北小学校、同大浦小学校、須賀川市立第一小学校、南相馬市立石神第一小学校、同石神第二小学校、同原町第三小学校、同大甕小学校
    丸善株式会社様の被災地支援活動に、寄贈先紹介の協力を行いました。これにより、宮城県の小学校2校にそれぞれ学校が希望した約6万円分の図書が寄贈されました。
    寄贈先 丸森町立耕野小学校、同小斎小学校
  • その他の寄贈
    9月18日、文部科学省・東日本大震災子供の学び支援ポータルサイトでの「支援の提案」を通じて、福島県富岡町の小中学校(原発事故により移転中)に、図書約200冊の寄贈を行いました。 この寄贈により、文部科学省生涯学習政策局長名で感謝状を贈呈されました。

図書整理ボランティア

図書館実務・図書整理の経験を持つボランティアを募集し、上記活動により図書を寄贈した学校のうち、図書の整理を希望した学校を訪問して図書の分類、ラベル作成・貼付、データの入力作業などを行いました。第1回(8月20日~22日)・第2回(8月26日~28日)で福島県・宮城県の計4校を訪問し、7校分の図書を整理しました。
図書整理ボランティア(第1回・第2回)報告

第3回(10月24日~25日)・第4回(11月1日~2日)を実施し、岩手県で計3校分の図書を整理しました。

図書寄贈のマッチング

被災地の学校へ図書を寄贈したいという方からのお申し出を受け、学校へ希望を聞き、希望があった図書のみ寄贈者から学校へ直接送ってもらう「図書寄贈のマッチング」を行いました。※現在は受付を終了しました

マッチングにあたり被災地の負担軽減のため、寄贈図書には状態や新しさの条件を設定し、また送付費用は寄贈者が負担すること、学校からの礼状等は不要とすることを寄贈者に了解していただきました。

  • 寄贈申し出受付期間:2011年10月12日~2012年1月31日
  • 寄贈申し出:15件(図書が古い等であらかじめお断りしたものを除く)
  • マッチング結果:13の個人・団体から16校に約850冊

情報収集と提供

震災による学校・図書館の被害状況、復興状況、援助等についての情報を収集し、広く提供します。

  • 震災関連のニュース
  • 学校等の状況
  • 援助関係のリンク
  • 震災に関する図書
  • 震災時の全国SLA機関誌の記事

震災関連の情報

学校図書館への援助

被災地では、学校図書館が流失したり、冠水のために多くの学校図書館が利用できません。学校が再建されても、学校図書館の本の充実は十分ではないと予想されます。また、被災や原子力発電所の事故により移転中で、自校の蔵書をまったく使用できない学校も多くあります。当会は、学校図書館整備推進会議をはじめ、多くの団体・機関・会社、個人等から支援を受けて、学校図書館に新本を届けます。現在は、学校が希望する図書を地元の書店を通して送る活動を進めています。募金のご協力をお願いします。

学校図書館復興のための募金

震災直後より、ホームページや機関誌を通して、また各県SLAに協力を呼びかけ、募金を呼びかけてきました。

【報告】1月31日現在

  • 集まった寄付金の総額:1,005万371円
  • これまでに使用した金額:642万7,729円
  • この寄付金を用いて図書を寄贈した学校
    2011年7~8月:10校
    2012年1~2月:35校
    ※学校名は上記「図書の寄贈」参照

集まった寄付金は、被災した学校が希望する図書を、その学校の地元の書店で購入して寄贈するために使わせていただきます。寄贈先は、全国SLAホームページ、機関誌等でお知らせします。ご希望の方には個別にメール等でお知らせもいたしますのでお申し出ください。

なお、12月19日より全国学校図書館協議会、活字文化推進会議、文字・活字文化推進機構の共催で、被災地学校図書館の復興を支援する「学校図書館げんきプロジェクト」が発足しました。寄付金を集め、学校が求める本を地元の書店を通じて送るという活動は、このプロジェクトに引き継ぎます。 プロジェクトの詳細および新しい募金についてはこちら

図書の寄贈を待っている学校・子どもたちがまだたくさんいます。引き続き、募金のご協力をよろしくお願いいたします。

また、現在までに「学校図書館復興のための募金」に集まった寄付金の残金についてはプロジェクトに引き継ぎ、引き続き「学校図書館 図書寄贈の希望調査」で寄贈を希望した学校への図書寄贈に使わせていただきますことをご了承ください。寄付金の総額、使用金額、寄贈先等については今後もこのサイト上で御報告いたします。

被災地学校図書館への図書の寄贈をご希望の方へ

図書の寄贈をお考えの方と被災地の学校とのマッチングは、終了させていただきました。今後は上記募金で支援にご協力をお願いいたします。

援助Q&A

Q1 学校図書館を援助するためには、どんなことをすればよいのでしょうか。

学校図書館の状態にもよりますが、次のようなことがあります。学校や教育委員会の要望を十分に確かめてから活動してください。これが十分でありませんとかえって迷惑をかけることになってしまいます。

  • 本の寄贈(学校図書館の要望に添ったもの)
  • 倒れたり、壊れた書架の修復・修理
  • 机、椅子などの備品の修理
  • 壊れたり、壊れかけた本の修理
  • 水に浸かった本の廃棄処分
  • 寄贈された本の整理
  • 子どもたちへの読み聞かせ等

Q2 家に子どもが小さいときに読んだ本がたくさんあります。子どもたちが大好きな本でしたので、この本を送りたいのですが。

本を受け取った子どもたちの気持ちにご配慮ください。できるだけきれいで、新しい本にしてください。学習に利用する本の場合、古い本は利用できません。また、寄贈された本がすべて学校図書館の蔵書になるわけではありません。教育活動に利用するものですから、一定の選定基準によって選定することをご理解ください。

Q3 30年前に発行された児童用の百科事典があります。ほとんど使っていませんので、新品同様です。学習に役立てていただきたいと思うのですが。

現在のように変化の激しい時代ですと、昔の本は学習にはほとんど利用できません。今は無い国名や教科書と異なる記述が載っていると、調べた子どもが誤った知識で覚えてしまいます。分野によっては、2年前のものも利用できないこともあります。新品同様でも内容が現在の学習では利用できないものですので、寄贈はされない方がよいでしょう。

Q4 学校図書館に本を宅配便で送りたいのですが、冊数が多いので送料がかかります。着払いでもよろしいでしょうか。

学校では送料を負担することができませんので、送料はご負担ください。

Q5 東日本大震災で被災した学校です。学校図書館の本が全部使えなくなってしまいましたので、寄贈をよびかけたいと思います。どのようなことに注意したらよいでしょうか。

これまでの例では、被災校が本の寄贈を呼びかけますと、全国各地から本が贈られて来ますが、古くて、利用できない本が多数混じっていることが多くありました。被災校での仕分け、古い本の処分等に膨大な時間と大変な手間がかかり、被災校に過重な負担となります。呼びかけるときには、次の点をお願いします。

  • 出版年が新しい本に限る。(1~2年以内の本)
  • 破けていたり、破損したりしていない本に限る。
  • 児童生徒が読む本、読める本に限る。
  • 学校図書館の蔵書にするかどうかは、学校が選定基準に基づいて判断する。
  • 利用できない本は、処分する。
  • 同じ本が複数あるときには、他の被災校に譲ることもある。
  • 送料等は、寄贈者に負担していただく。

Q6 学校図書館へ新しい本を贈りたいのですが、どのような本がよいかわかりません。

学校図書館は、学習に必要な本や読書を楽しむための本などを蔵書としています。
読む本も小学校、中学校、高等学校、特別支援学校など校種によっても異なります。
学校現場が喜ぶ本は、最新の資料が掲載されている新しい本や、多くの人に長年読み継がれて本などです。
例えば『学校図書館基本図書目録』(全国学校図書館協議会編)などは、学校図書館が備えるべき本を校種毎に厳選して紹介しています。「学校図書館図書整備協会」では、最新刊の本をセットにして、校種ごとに紹介しています。こうした資料を参考に学校図書館が必要とする本を選んだらいかがでしょうか。

Q7 学校図書館へ「新しい本」を贈るそうですが、これまで読み継がれてきた昭和に発行された本は、贈らないのですか。

「新しい本」とは、最近刊行された本、という意味ではなくて、新たに購入した本のことです。初版が昭和の本でも、版を重ねて現在も発売されている本は対象になります。特に、絵本は何十年も読み継がれている優れたものが多くありますので、そのような本を学校図書館の蔵書にしたいと思います。
参考:『よい絵本 第25回』

過去の災害対応