研究大会・研修会
SLA情報局online 参加者からのご質問について
「学校教育に関わるすべての人に! みんなで学ぼう 学校教育と著作権」
SLA情報局online「学校教育に関わるすべての人に! みんなで学ぼう 学校教育と著作権」【講師:森田盛行氏(全国SLA顧問)】で、参加者の方から当日寄せられた質問に、講師がお答えします。
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Q.35条で記録のための保存は、学校図書館の蔵書にはならない?
35条で記録保存する主体は授業者はってことでよいでしょうか。学校図書館の蔵書にはならないってことですね。そこは手に入るものなら買うってことですね。手に入らないものはどうしますか。
■ ANSWER
著作物の教育利用に関する関係者フォーラムの「改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)によりますと、「自らの記録として保存しておくための教員等または履修者等による複製」は、「授業の過程」での行為とする、としています。そのために、授業の過程において、教員、児童生徒が利用した著作物の複製は、自分の記録として保存することが許諾を得ずに行えることになります。従って、記録を保存する主体は、教員、児童生徒になります。保存は、自らの記録のためのものですので、通常は自分で保存することになります。
Q.35条で記録のための保存は、学校図書館の蔵書にはならない?
授業の過程で本の画像をパソコンに取り込んでプロジェクターや電子黒板で映し出すのは複写になりますか?
■ ANSWER
本の画像をパソコンに取り込むことは、複写になります。その画像をプロジェクターや電子黒板で映しだすことは、上映になります。
Q.コロナの関係で保護者の観覧が叶わず、文化祭の演劇等をネットで配信してほしい、DVD に焼いてほしいなどの意見が保護者から寄せられています。著作権上問題はないのでしょうか?
なお生徒が一から脚本を書いたようなものはなく、テレビドラマや小説、アニメなどが元になっており、「そもそもちゃんと許諾を取って脚本にして、上演しているのか怪しい・・・」(そこまで私の方では把握ができていません)ようなものが多いです。お時間ありましたら教えて頂きたいです。
■ ANSWER
前提として、文化祭は特別活動の授業になりますが、外部の人間が自由に入ることができるような形で演劇を上演する場合には、著作権料が発生することもあります。
他の人が書いた脚本に基づく演劇ですと、この演劇が二次的著作物になりますので、この演劇をネットワーク配信やDVDに焼くには、原作者の脚本を書いた方の許諾を得る必要があります。
演劇部や劇を上演する学級の生徒が書いた脚本による演劇ですと、このような場合は、通常ですと生徒が著作権を主張しないと思われますのでネットワーク配信もDVDも許諾は不要だと思います。ただ、念のために脚本の著作権は誰が持つのかを確認して、必要に応じ許諾を得ておきます。
授業の一貫として、生徒がテレビドラマや小説、アニメなどが元にして作成した場合には、元の作品を翻案した脚本になります。この場合は授業ですので、許諾は不要です。
Q.31条は「図書館等」ですが、学校図書館は入っていません。SGH,SSHの探究になると NDLの公衆送信相手になることは、今の教育課題と思うのですが、その点はいかがでしょうか?
■ ANSWER
スーパーグローバルハイスクール(SGH),スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の生徒の活動は、学校の教育課程に則っとる授業の一つとして行っていますので、著作権法第35条により複製等は 許諾を得る必要がなく、公衆送信も同時の授業であれば許諾は必要ありません。異時等のそれ以外の公衆送信も補償金制度により許諾は必要ありません。
このように第35条により様々な学習を行うことができますが、学校の学習活動は幅が広がっていますが、まだ不十分です。現状及び未来に向け、さらに学びが豊かになるように第35条の改訂が強く望まれています。
Q.35条の施行ガイドラインはどこから情報を得ることができますでしょうか?
■ ANSWER
一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会 SARTRASのホームページにあります。
https://sartras.or.jp/
改正著作権法第35条(平成 30(2018)年改正)
https://sartras.or.jp/wp-content/uploads/unyoshishin2020.pdf
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