学校図書館担当者のための情報館
新任学校司書の皆さんへ
初めて学校司書になった方の「何から始めればいいの?」「どんなことに気をつけて仕事を進めればいい?」・・・そんな疑問に答えるためのチェックリスト兼ヒント集です。
学校司書の勤務体制や学校の事情によって下記の内容は異なってきます。まず は取り組みやすいところから! どうぞ参考にしてください。
印刷用はこちら
目次
Ⅰ.学校司書としての基本
学校図書館は、児童生徒が読む力を付け、知識を深め、情報リテラシーを学ぶ場である
学校司書はそのような場に携わる者であるということを忘れず、職務に当たるようにする
教員との信頼関係を築き、学校教育に役立つ学校図書館作りを目指す
児童生徒が安心して学校図書館を利用できるような接し方を心がける
支援・配慮の必要な児童生徒への対応には細心の注意を払い、対応が困難な場合は担任等に相談する
開館中は児童生徒の安全に配慮する
職務上知りえた学校の情報や児童生徒の個人情報等を口外しないなど、守秘義務を守る
Ⅱ.着任して最初に行いたいこと
*学校職員として勤務する上での基本事項です。
着任した初⽇またはなるべく早い時期に管理職を通じて確認などしておくとよいでしょう。
内容によっては他の教職員から説明を受ける場合があります。
全教職員へ着任の挨拶や自己紹介を行う(もしくは着任したことを全教職員に通達してもらう)
勤務日・勤務時間、職務内容など基本的な勤務条件を確認する
勤務に必要な事務手続きを行う
児童生徒への紹介日時と方法を確認する
司書教諭(図書主任・図書館担当教員)との打ち合わせ日時を確認する
可能ならば前任者からの引継ぎを行えるよう手配を依頼する
服装・頭髪など学校に勤務する上で配慮すべき点を確認する
私物(貴重品等)の置き場所・ロッカー・食事場所の使用等について確認する
職員室内の専用または共用の机、連絡の仕方等を確認する
(職員間の連絡事項、学校図書館への配布物などを入れる専用ボックス等があると便利)
避難経路や、緊急事態発生時の対処方法、避難訓練への参加など安全管理について確認する
Ⅲ.勤務する学校・学校図書館について知っておきたいこと
*学校司書としての職務を遂⾏する上で、勤務校の教育⽅針や児童⽣徒の様⼦を知ることは⼤切なことです。学校図書館についてどのような運営計画があるか、学校⻑(館⻑)の学校図書館への期待などを知ることも実務の上で役⽴ちます。また、学校には学校教育を⽀える⼈達による様々なルールがありますので、なるべく早い時期に確認しましょう。確認する相⼿は学校の事情に合わせて、臨機応変に⾏いましょう。
1.学校図書館について
【学校の特色】
教育目標(教育方針)・学校の特色を知る
児童生徒の様子・地域性などを知る
年間の行事予定を確認する
一日の流れ(時間割)を確認する
【学校の組織】
校内組織(校務分掌)を知る
学校図書館運営についてどのような組織があるか、どのようなメンバーで構成されているかを確認する
学校司書として出席する職員会議や、打ち合わせ等があるかを確認する
情報教育担当教員、ICT 担当者との関わりの現状を知り、必要に応じて打ち合わせを行う
【学校内の機器類の使用】
印刷機・コピー機・FAX・プロジェクターなど、使用可能な機器と使用手続きを確認する
【物品の購入】
学校図書館で必要な物品の購入手続きについて確認する
2.学校図書館について
【学校図書館の活用計画】
学校図書館活用年間計画ほか学校図書館に関してどのような計画があるかを確認する
学校図書館に関わる校内研究授業があるか、あれば学校司書としての関わりを確認する
【図書館資料の購入計画】
学校独自の選書基準があるか確認する
図書館資料の購入予算とその管理について確認する
購入時の手順と事務的な留意点、決裁の受け方を確認する
図書館資料が消耗品扱いか備品扱いかを確認する
【図書館資料の廃棄】
学校独自の廃棄基準があるか確認する
図書館資料を廃棄する際のルールと手順、決裁の受け方を確認する
図書館資料が消耗品扱いか備品扱いかで廃棄手順が異なるので確認する
【広報活動】
図書館だより等の発行について現状と予定を確認する
Web サイトでの広報活動について現状と予定を確認する
【支援・配慮の必要な児童生徒の把握】
支援・配慮の必要な児童生徒に接する上で、配慮すべき点を具体的に聞く
特別支援学級がある場合、学校図書館利用の現状を確認する
【公共図書館との連携】
公共図書館から受けることができるサービスの内容や現在継続して受けているサービスについて知る
連携の仕方や必要な手続きについて確認する
【相互貸借】
学校間の相互貸借が可能な場合は、貸借を行う際の手続きについて確認する
【学校図書館のボランティア】
ボランティアによるサポートがある場合、仕事内容と連絡窓口となる教職員を確認する
Ⅳ.学校図書館内の設備等に関すること
*まずは学校図書館内の様⼦を実際に⾒てみましょう。設備の使⽤⽅法や現⾏のルールなど、学校図書館の運⽤に詳しい司書教諭(図書主任・図書館担当教員)等と⼀緒に確認するとよいでしょう。下記の内容は、できれば開館⽇までに知っておきたい基本事項です。
【学校図書館の施設・設備】
開館時間について確認する
図書館の施錠及び鍵の管理について確認する
照明・空調のスイッチ、内線電話等の位置を確認する
事務用品・図書館用品等の所在を確認する
清掃用具の所在を確認する
司書室・図書館準備室の有無を確認する
保存書庫(閉架書庫)の有無を確認する
返却ボックスの設置状況を確認する
掲示板・展示台の状況を確認する
【学校図書館資料の種類と所在】
学校図書館にどのような資料があるか、資料の種類(図書・新聞・雑誌・視聴覚資料・電子資料・ファイル資料・教科書等)と所在を知る
配架図や書架のサイン等を確認する
学校図書館以外に学校司書が管理すべき資料があるか確認する
【学校図書館資料の整理と管理】
(1)コンピュータによる蔵書管理がされている場合
資料管理システムの起動・終了の仕方(ID・パスワード等)を確認する
操作マニュアルの所在(オンラインの場合はアクセス方法)を確認する
プリンターなど連動する電子機器があれば、使用方法を確認する
(2)コンピュータによる蔵書管理がされていない場合
図書原簿・各種目録等を確認する
【ICT環境】
学校図書館に無線LAN(Wi-Fi 等)が整備されているか確認する
児童生徒が使用している端末の学校図書館内での使用状況を知る
学校司書が校内の学習支援システムを使えるか確認する
児童生徒が使用している端末を学校司書が使えるか確認する
【ユニバーサルデザイン】
支援・配慮の必要な児童生徒に対してどのような対処や工夫がされているか確認する
読書バリアフリー法に基づき、機器類等の準備があるか確認する
支援・配慮の必要な児童生徒のための資料はどのような予算で購入するか確認する
Ⅴ.学校図書館での実務に関すること
*学校図書館の状況や現⾏のルールを確認しながら⽇常業務を始めます。優先順位を考慮し、必要に応じて司書教諭(図書主任・図書館担当教員)に相談しながら作業を進めていきましょう。
【開館準備】
前年度の蔵書数・蔵書構成、各学年の貸出冊数など統計データを記録保存しておく
各クラスの名簿を受け取り、貸出開始日までに進級業務を行う
前年度からの引き継ぎ事項の中で、直ちに行うべき作業があれば優先的に行う
館内の整理整頓を行い、衛生面にも配慮する
【学校図書館資料の整理】
図書資料の書架整理を行い、蔵書の様子、分類・配架の状況を確認する
書架整理時に目についた汚損・破損本は書架から抜き出し、修理または更新を検討する
図書資料以外の資料はどのように整理し登録されているか、分類・配架の状況を確認する
過去との比較、変化の確認のため、これまでの蔵書数・蔵書構成、各学年の貸出冊数など必要なデータを確認し整理しておく
【カウンター業務】
カウンター業務に必要な道具やカード類を確認し、不足しているものを揃える
貸出・返却・予約・検索等の仕方や現行のルールを覚える
【オリエンテーション】
※「学校図書館サポートのページ」の学校図書館オリエンテーションを参照
オリエンテーションを行う時期や方法、対象学年に合わせた内容等を確認して行う
配布する資料(利用案内など)があれば準備する
必要に応じて、画像資料などを作成する
【図書館を活用した授業支援】
図書館使用の予約を随時受け付ける
小学校等で図書館を優先的に使用する時間割がある場合はその時間割表を受け取る
授業者との打ち合わせ、連絡方法・連絡ツールについて確認する
連絡方法に従って授業準備の打ち合わせを行う
授業に必要な資料が学校の資料で不足する場合は公共図書館等から借りる手配をする
自校でこれまで作られていた単元別資料リストやパスファインダー等を確認し、必要なものがあれば作成を検討する
【図書館だより】
まずは児童生徒向けに作成し、その他必要に応じて教職員向け・保護者向けの作成も検討する
印刷物での配布、Web サイトへの掲載など方法は色々あるが、いずれにしても個人情報に留意し、管理職の確認をとる
著作権や個人情報に留意する
【学校図書館資料の新規購入と更新】
選書基準に従って新規購入候補の資料リストを司書教諭とともに作成し、選定・廃棄委員会等で検討する
決裁後、学校のルールに従って発注の手続きを行う
購入後、受け入れた図書館資料の検収・登録・分類・装備を確認し、配架を行う
廃棄基準に従って除籍候補の資料リストを司書教諭とともに作成し、選定・廃棄委員会等で検討する
決裁後、除籍手続きを行い、手順に従って廃棄する
継続資料(新聞・雑誌・更新資料)の契約更新について確認する
【図書委員会】
図書委員(児童生徒)の主な活動を知る
図書委員会活動に対する学校司書の役割について確認する
【館内清掃】
児童生徒による館内清掃の有無と掃除を行う時間帯、学校司書の関わりについて確認する
【館内の飾り付け】
図書館内の飾り付けは、落ち着いて学習や読書ができる環境を損なわないものにする
支援・配慮が必要な児童生徒に考慮したものにする
著作権や個人情報に留意する
Ⅵ.長期的な取り組み
*下記の項⽬は、⻑期的な⽬標をもって⾏う作業です。⽇常業務の中で繰り返し⾏う作業もありますが、時代の変化とともに必要な変更は、学校全体の問題として捉え、よりよい学校図書館作りのため提案しましょう。
ただし、学校図書館にはそこに携わる⼈達が引き継いできた歴史もあります。利⽤者が慣れた使いやすさもあります。そのことも考慮し司書教諭や関係職員等と相談しながら変更や更新の計画を⽴てましょう。
館内のレイアウトを変更する
資料の分類を見直し、登録・ラベル表記・配架等の変更を行う
《例》・NDC 新訂10 版に合わせて分類を変更する(点字・手話378→801等)
・絵本として別置していた科学絵本を4類に分類し混配する
・分類記号を2桁から3桁に変更する
別置する図書資料の見直しを行う
《例》・年間を通しての学習に関する資料等を、コーナーを設けて別置する
・修学旅行先の変更に伴い別置資料を変更する
・利便性の観点から現在の別置を見直す
蔵書構築の見直しを行い、図書資料の計画的な廃棄・更新を進める
書架に置いてある本の配置を変える
など
学校図書館サポートのページ