学校図書館担当者のための情報館
その他
テーマ別記事一覧(タイトルをクリックするとその記事に飛びます)
Q.督促のタイミングは?
QUESTION
未返却本の督促のタイミングと方法がわかりません
■ ANSWER
期限を守って資料を返却する習慣は、学校の内外を問わず、大切なマナーです。オリエンテーションでもしっかりと伝えたいものです。督促をするタイミングとしては蔵書点検の前や、学期ごと。管理システムが導入されていれば、返却日を何日越えているかなどでも可能です。督促状という名称で手渡されるのは、きつい印象があるかもしれませんので、「図書館からのお知らせ」など、名称の工夫をしてもよいと思います。
記載内容は、書名のほか、該当する本の貸出し日、返却期限、督促回数などを記し、明日中に返却など期日を示すと効果的ですが、その時の学校の状況を踏まえて、内容や伝え方を考える配慮も必要です。重要なのは、日頃からの信頼しあえる環境づくりです。
Q.図書館だよりを作りたいのですが気を付けることは?
■ ANSWER
児童生徒向けの図書館だよりは、学校図書館を知ってもらい、読書や調べもののために図書館に足を運んでもらえるように定期的に発行することが大切です。毎回同じような紙面が続くと、読書好きの児童生徒だけしか手にしなくなってしまうこともありますので、工夫が必要です。見出しを目立たせる、いろいろな賞やイベントを企画し掲載するなど制作に関するノウハウについては、『作ろう!わくわく図書館だより』(全国SLA刊)にイラスト見本付きで詳しく紹介されていますので、参考になります。
また、図書館だよりは、図書館担当者が児童生徒向きに作成するもの以外に、教職員向けに作成するもの、図書委員会で児童生徒が発信するものもあります。それぞれの目的にあった掲載内容が必要となります。
Q.教職員向けの図書館だよりは必要ですか?
QUESTION
教職員向けに発行すると、どのような効果があるのでしょうか? また、お知らせすべき内容は?
■ ANSWER
新学期を迎える時期に、児童生徒に図書館を知ってもらうために、図書館だよりを作るのと同じように、教職員にも図書館の存在をアピールすることは、その後の活動に役立ちます。新任の先生もいるでしょうし、毎年、図書館の使い方やどんな活用の仕方があるかを繰り返し伝えることで浸透を図ることになります。教職員との連携が図書館を積極的に授業で利用してもらうための第一歩になります。
館内配置図や利用に関する案内、新聞などメディアの種類や学習で使える資料の情報、読書補助具などの備品、資料購入のリクエストや授業活用のための連絡シートなどの存在を伝える内容を掲載し、年度最初の職員会議で配布します。パソコンやタブレット端末にも載せると、より効果的に伝えられるでしょう。
児童生徒向けの図書館だよりを定期的、継続的に発行することが効果的であるのと同様に、教職員向けの図書館だよりも定期的に発行することが大切で、図書館を活用した授業の取組みを支援することができます。
掲載する内容で重要なのは、図書館を使った授業について。できるだけ具体的に掲載することが大切です。授業者にあらかじめ図書館だよりに掲載することを説明しておいて協力してもらうとよいと思います。
生徒の感想や授業の反応などもあわせて伝えると、まだ図書館を活用したことのない教職員が図書館での授業をイメージしやすくなるでしょう。図書館活用の広がりにつながっていきますので、ぜひ、継続的に取り組んでほしいと思います。
Q.図書原簿は何のために長年保存しておくのですか?
QUESTION
古いものは処分してもよいですか?
■ ANSWER
「図書原簿」(習慣的に「図書台帳」と呼ぶこともあるようですが)とは、学校図書館の資料の購入から除籍までの基本情報を記入しておくものです。保存しておいて、求めがあった場合に対応できるようにしておくこと が原則となります。公立校であれば図書費は住民の税金によるものですので、購入、除籍の記録を手元に残しておく必要があります。そのため永久保存が原則ですが、自治体によっては保管年数を公表しているところもあるようですので、まずは地域のルールをご確認ください。
図書原簿に除籍の情報を記載して、記録として残しておくことが大切です。除籍の情報が記載されていない図書原簿は役にたちませんので、自館にある最も古い資料の受入番号よりも前の原簿は、1つの考え方として処分の対象としてもよいと思います。
Q.データベース化したら図書原簿は処分してもよいですか?
QUESTION
データベース化後に気を付けることを教えてください
■ ANSWER
図書館の資料のデータベース化は、現在所蔵している資料のみ行われることが推測されます。自館に現在所蔵している最も古い資料の受入番号よりも前の図書原簿は、除籍の情報がきちんと記載されていれば、そのまま保管するとよいでしょう。また、データをプリントアウトしておく等、トラブルが発生したときに備えておくことも必要です。
1人1台端末で自館の蔵書検索ができる学校もあると思いますが、その環境が整っていない場合、プリントアウトしておけば、同時に複数の人が検索する際に役立ちます。分類順、著者順など工夫すれば授業でも使えるツールになります。
データベース化開始後20年で、ハード面の見直しを検討せざるを得なくなったという声も聞かれます。図書原簿をすぐに処分するのではなく、自治体のルールなども参考にしながら、学校や地域で目安を検討されるとよ いでしょう。
Q.本のリクエストを受け付けたいのですが?
QUESTION
図書館への関心を高める効果をもたせるには?
■ ANSWER
まずは、気軽に書いてもらえるようなリクエスト用紙や受付BOX をカウンターの近くに置いて、リクエストしやすい雰囲気を演出することから始めてみましょう。リクエスト本の購入の決定には値段の上限、コミックスの取扱い等、ルールづくりや本の検討が不可欠です。担当者1人で決めるのではなく、校内で組織的に取り組める環境を整えるようにしましょう。
購入が決まったリクエストに対して図書館からの返事が掲示されるとよいと思いますが、個人が特定できないような配慮が必要です。リクエストした本があまり購入されなかったら図書館への関心が薄れてしまいます。
児童生徒、教員が読みたいと思う本を蔵書に加えることは、蔵書構成を豊かにすることにもつながります。
Q.パスファインダーを作るには?
QUESTION
参考になるものや注意点は? また、タブレットを使った授業への対応は?
■ ANSWER
「パスファインダー」とは、ある特定のテーマ(主題)に関する自館の資料やネット検索で使えるWebサイトの情報等がまとめられた、児童生徒、教員がテーマ学習に必要な情報を収集するための手がかりとなるリーフレットです。図書館でのテーマ学習を進める上で欠かせないツールとなります。
記載する項目は、そのテーマに関連する自館の図書資料、分類のヒント、情報ファイル、Webサイトの情報、関連のキーワードなどで、『授業にいかす情報ファイル』(藤田利江・著、全国SLA刊)が参考になります。
パスファインダーは、テーマ学習を計画的に進められる環境ではじめて活かされるものです。情報担当と図書館担当、教科教員が共同で環境づくりを進め、一緒にパスファインダーを作ることをおすすめします。
タブレット導入で、調べ学習を教室で行い、かえって図書館を使わずに授業が進められてしまうという例もあるようです。調べ学習に欠かせないツールであるパスファインダーにも、紙とデジタル両方の情報を掲載するようになってきていますが、児童生徒に配付するパスファインダーに記載するWeb サイトの情報については、学習の対象学年を考慮し安全に使える情報に絞って記載する、個人のサイトは記載を控える等の配慮をしたいものです。情報スキルが身に付くまでは、慎重に対応する必要があります。
また、調べ学習の前に児童生徒のタブレットに配付用のパスファインダーを入れておいて図書館の資料にも導く等、工夫して学校図書館の利用につなげる可能性も考えられます。