その他〈環境整備〉

Q.置きっぱなしの学級文庫

QUESTION

教室に、学級文庫として図書が長年置きっぱなしになっていますがよいのでしょうか?

■ ANSWER

学級文庫の図書が、ずっと同じ図書のまま、掃除もされないで棚に並んでいるのは、子どもたちとって好ましい読書環境ではありません。学級文庫も学校図書館で管理し、図書が固定化しないようにしましょう。学校図書館で除籍になった図書を学級文庫に置くという考え方があるようですが、子どもたちに読んでほしい新しい本を配布することが望ましいです。
新年度を迎える前に、少なくとも1年に1回は図書を回収して、紛失、破損、汚損のチェックと処理をし入れ替える仕組みをつくるところから始めてみることをお勧めします。学級数が多い学校では、全学年一斉に、入れ替えを行うのは大変ですので、夏休み、春休み、冬休みに学年を分けて行う、ボランティアや図書委員と連携して行うなど工夫をして取り組んでください。

Q.必要な館内表示

QUESTION

子どもたちが自分で図書を探せるようにしたいのですが、どんな館内表示が必要ですか?

■ ANSWER

図書には分類記号と図書記号を示すラベルを貼って、図書の所在(住所)を決め、分類記号順に配架することが前提です。その上で自分で図書を探せる環境を整えるためには、以下の6つの表示は必須と言えるでしょう。

  1. 館内全体の配置と書架の分類が示してある「館内案内図」
  2. 書架の上や側面に付け0類~9類を示すための「書架案内板」
  3. 棚の途中で分類が変わった時に使用する「分類の見出板」。小学校などでは、著者や被伝者の頭文字の五十音順に並べた棚で区切りを示す「見出板」を使用する場合もあります。
  4. 「分類表」
  5. 児童生徒に請求記号の意味を知らせる「ラベルの説明」
  6. 探したい主題の"ことば"から"分類記号"をさがすための「分類相関索引」

2・3は市販品もありますが手作りするのもよいでしょう。
6については、NDC付属の相関索引などを基に、自校でよく探される本の主題を表にして掲示しておくと児童生徒が本を探しやすくなります(「子ども読書県しまね 学校図書館」Webサイトで公開されているものが参考になります)。

Q.学校図書館の装飾。どの程度が適切?

QUESTION

学校図書館は学習の場なので、飾りつけ過ぎるのは、場にそぐわないのではないですか?

■ ANSWER

館内装飾は、子どもたちを図書館へと誘う手法の一つです。図書館を親しみのある、興味深い場所とするために、子どもたちの興味・関心のあるテーマを取り上げ、華美にならないように変化のある装飾を心がけましょう。図書館の利用をしやすくする装飾、学習への興味関心を喚起する装飾が望ましいと言えます。まずは、図書館利用に必要な掲示物を、親しみやすいデザインで作成してみましょう。
子どもたちに目にしてほしい標本などの実物の展示や、館内の資料を使って答えを見つけるクイズを作って掲示するなど、工夫してみてください。
特に小学校は1年生から6年生まで年齢幅を考慮し、幼児向きの装飾にならないようにしたいものです。

Q.人気のキャラクターを館内装飾として掲示してもいいですか?

QUESTION

学校図書館の利用促進につながると思うのですが。

■ ANSWER

館内装飾によって子どもたちに多く利用される空間にするということは、利用促進の方法の一つとして大切ですが、人気のキャラクターを使うことは、容易なことではありません。
芸術分野の作品や文学作品等には、その著作者の権利を守るために「著作権」が発生しています。学校図書館の装飾にキャラクターを使用するのにも、著作権者の許諾が必要で、許諾を得るには、出版社等に問い合わせをすることになります。実際にキャラクターを使用している学校図書館がありますが、きちんと許諾を得て使用しています。勝手に使用することは厳禁です。
学校図書館の担当者には、正しい著作権の知識が求められます。『学校図書館』2018年5月号の著作権特集や、『気になる著作権Q&A』などを参考にして理解を深めてください。

Q.地震への備え、低予算でもできることは?

QUESTION

すぐに取り掛かれること、低予算で、安全性がある程度確保できる対策はありますか?

■ ANSWER

備えの第一歩としてまずは、書架が転倒したり、動いたりしないよう固定することは基本です。防災管理の意識が高まりつつある昨今、書架を天井に固定し、さらに書架間も上部で連結するといった大規模な工事や本の落下を防止するよう棚が作動する書架などもありますが、そこまでの対策は望めない場合も、できる範囲で固定しましょう。高い書架の最上段には本を配架しないという配慮もあるといいと思います。
図書館用の地震対策用品の活用は比較的低予算でできる対応策の一つです。たとえば「落下防止シート」。棚板の面に直接貼るもの(何度でも貼り直せる)で、図書委員会の児童でも十分作業できます。落下の危険度が高い上段に貼り、最下段には貼らず、 その他の段には「落下防止テープ」(棚板の手前に貼る幅の細いもの)を使用するなど工夫次第で予算を押さえられます。使用している学校によると「本が取り出しにくい」との声があるようですが、安全優先と考えてほしいものです。
棚の手前ギリギリに本を揃えると見た目は美しいのですが、少し後ろへ下げて配架するのも落下予防策になるのではないでしょうか。書棚に並んでいる本をブックエンドで押さえることも落下防止効果があります。

Q.本の日焼け対策は?

QUESTION

書架移動など、大掛かりなことができない場合、よい方法がありますか?

■ ANSWER

窓からの直射日光によって、書架の本の背表紙の退色、背文字が消えるなどの劣化が生じます。書架の配置を考えたいところですが、カーテンを取り付けたり窓に遮光効果のあるフィルムを貼ったりすることで、ある程度の対応策になります。
フィルムを貼る場合は、一人で作業するのではなく、数人で息を合わせて作業することで、空気が入りにくくなり、仕上がりがよくなります。
作業時期は、梅雨、台風などの雨の時期や高温になる時期(フィルムがのびてしまうので)は避けることをお勧めします。耐用年数は、品質にもよりますが3年くらいです。貼り替えることを考えて予算を組んでおくことも大切です。