学校図書館担当者のための情報館
その他〈廃棄・更新〉
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Q.図書の廃棄は毎年必要?
QUESTION
書架から図書があふれていなければ、廃棄はしなくてよいですか?
■ ANSWER
まだ使えそうな図書を捨てるのはもったいない、図書は多いにこしたことがないと考える教員も多く、図書館担当者としては、それなら毎年廃棄しなくてもと考えてしまうかもしれません。しかし、毎年蔵書点検を行うことの大切さ、図書の更新も考え併せ、廃棄は毎年システマティックに行うことをおすすめします。
まだ使えそうというのは、人によりさまざまですし、本当に使える図書かをはっきりさせることも難しいですので、担当者が一人で廃棄を決めるのではなく、まずは廃棄の基準を成文化して、学内で考え方を共有することから始めましょう。全国SLAの「学校図書館図書廃棄規準」、『その蔵書、使えますか?;図書の更新のすすめ』(全国SLA刊)が参考になります。
Q.蔵書点検はなぜ大切?
QUESTION
蔵書の有無の確認だけではないのでしょうか。
■ ANSWER
蔵書点検を行うには、まず全校児童・生徒に呼び掛けて、一度図書の返却をしてもらうことになります。最低でも一年に一度、蔵書の有無の確認をするための返却があるということで、借りた本を返さなければならないことを子どもたちに意識付けることになります。同時に図書の傷み具合も確認することも伝えれば、子どもたちは本をていねいに扱わなくてはいけないと思うでしょう。
図書の点検をするときは、図書を手にとってパラパラとページをめくって、落丁、書き込み、破れはないかなども見ていきます。内容的な確認も、特に地理や統計、科学や医学の本などは情報が古くなっていないかという視点が必要です。点検後、買い換えるもの、除籍にするものなどを見極めることにより、蔵書の更新につながります。
Q.1クラス分購入した辞典の管理・買い替えは?
QUESTION
廃棄するときに、多量で目立つので躊躇してしまいます。
■ ANSWER
授業で使う目的で、「国語辞典」を1クラス分購入する場合があります。学校図書館で受入れをして、ラベルを貼ってきちんと管理しましょう。気を付けたいのは、学校図書館に置かずに、使用する学年の廊下の書架などに置くケースです。同じ学校司書が継続的に勤務できない学校などでは、そのまま忘れ去られてしまったり、自由に利用させる意図があったとしても、紛失につながりかねません。
辞典の廃棄について全国SLAの廃棄基準には特に決められた年数の記載がありませんが、改訂により新しい言葉が追加されますので、辞典により異なりますが買い替え期間は10年ほどを見込んでおきます。複数冊で高額になりますが、購入の計画を立てておくことで、気兼ねなく廃棄することができます。
Q.廃棄・払出しはどうすすめればいい?
QUESTION
手順と注意点が知りたいです。
■ ANSWER
廃棄払出しの注意点は、一人で廃棄を決めないことです。委員会を作るなどして校内で廃棄基準を明文化しておくこと、廃棄候補の本を教職員に見てもらう機会を設けることが大切です。その際、教職員への事前の告知を行いましょう。
その上で、廃棄処分までの作業手順として、除籍本のリストを作る、本に除籍印を押す、あるいは赤色の二重線で受入印や蔵書印を消し、蔵書リストから削除します。
ラベルやコーティングフィルムを剝さなくてはならないなど、処分のルールは自治体によって異なりますので確認しておきます。特に備品扱いの本は、担当者への連絡が必要になる場合がありますので気を付けましょう。また、処分所への本の運び出しは、周囲への影響も配慮しながら図書館担当者が行うことが望ましいです。
Q.廃棄の判断。発行年で決めていい?
QUESTION
発行年だけで廃棄を決めてはいけないのでしょうか......。
■ ANSWER
「発行年が昭和の本を廃棄候補にするにあたり、全ての候補本の絶版調査をするように」と管理職から指示されたといった例があります。これでは廃棄が進まなくなってしまいます。また、発行年だけで廃棄してしまうと、なぜ廃棄してしまったのかという問題が起こりかねません。
大切なのは、廃棄候補の本を校内の先生方に確認してもらう手順を踏むことです。ロングセラーや授業で使う本など、発行年にかかわらず残したい本があります。それらの要望を受けて、買い替えられるのか、近くの公共図書館に所蔵されていて連携できるのか等を検討しましょう。教科書や各種推薦本のリストに掲載されている本を廃棄しない本の拠り所とするのもよいと思います。そして、廃棄を組織的に校内で決定する手順を明文化 しておくことをお勧めします。