配架について

Q.個人の伝記はまとめて置いていいのですか

QUESTION

速報版の選定図書のリストをみると、音楽家や画家などの伝記は7類の分類記号が付されていますが、分類記号を289にして個人の伝記として配架をしてもよいのでしょうか?

■ ANSWER

NDCによると個人の伝記は、哲学などの1類、芸術などの7類、文学などの9類はその主題のところに分類されます。音楽家・画家のほかには、哲学者、宗教家、作家、スポーツ選手などです。ただし小学校では伝記はまとめておいたほうが、児童生徒にはわかりやすいと考え、289にして個人の伝記の書架に置くという方法を講じてもかまいません。

Q.「戦争関連の本」の棚をつくってよい?

QUESTION

毎年授業で使うことが多く、タイトルに戦争関連の図書とわかる言葉が入っていない場合(特に物語)は探し出せないこともあるので、常設書架としてまとめて別置したいのですが。

■ ANSWER

学校図書館は、特定の主題で図書を一時的に集めても、固定化しないのが基本です。授業で使う時期限定で「戦争関連の本」のコーナーをつくって、そのテーマの学習の時期が過ぎたら元の書架に図書を戻すほうがよいでしょう。たとえば「日本史シリーズ」のうち1冊が戦争の時代の図書である場合、その1冊だけ戦争関連の書架に別に置くことになってしまいますので好ましくありません。
「戦争関連の図書のリスト」を作成しておく方法で対応すれば、図書を探し出せますし、リストに自校に所蔵しているものだけでなく、より多くの書誌情報を掲載するなどの工夫もできます。

Q.書名順か著者順か迷っています

QUESTION

小学校図書館で絵本を別置して「絵本コーナー」を設置している場合の、分類や配列はどのように決めればよいですか?

■ ANSWER

"本の仲間分け"があることを示す目的で、「日本の絵本」「外国の絵本」「知識の絵本」などに大きく分類するとよいでしょう。
配列は、著者順か書名順か意見の分かれるところです。低学年の児童にとって、自分で探して選んだ絵本がおもしろかったときの喜びは格別で、その後のひとり読みの読書へとつながります。書名の五十音順で配列することで、読みたい絵本を自分で探し出すことができます。
中・高学年は、「同じ著者の絵本を読みたい」という利用の仕方もあるので著者順の配列を採用している学校もありますが、その場合には低学年のうちから系統的に本の探し方の指導を行うことが前提です。利用する児童生徒の使いやすさを考えて配列をすることが大切です。

Q.高学年向きの絵本は絵本コーナーに置かないほうがよいでしょうか

QUESTION

小学校の学校図書館で絵本コーナーをつくりましたが、高学年の児童はあまり利用していません。

■ ANSWER

『100万回生きたねこ』『絵で見る日本の歴史』『アンジュール』など、小学校高学年向けの絵本も多くあります。配架されている絵本コーナーが、低学年の利用を意識しすぎた装飾になっていると、自我が確立しつつある高学年の児童には利用しにくいのかもしれません。
期間限定でテーマを決め、高学年向きの絵本を企画展示してみてはどうでしょうか。その期間はいつもより落ち着いた装飾で児童を迎えます。
また、学校の規模や蔵書数によっては高学年向きの絵本を初めから一般図書の書架に主題により分類することで利用が伸びることも期待できます。

Q.図鑑の置き場所は?

QUESTION

図鑑を主題別に分けて配架しています。調べ学習室はありませんので、貸し出されてしまうと、学習などに使えない状況です。

■ ANSWER

予算が潤沢で調べ学習用の図書をコーナーとして別置できればよいのですが、一般的には限られた予算のなかで、蔵書を構成しなければなりません。打開策として、調べ学習に適すると思われる図鑑セットを1種類決めて、2セット購入し、学習用に1セット確保しておくという方法が考えられます。その場合、百科事典と同様に031の分類記号を付してセットで0類の棚に配架し、禁帯出のラベルを貼っておくとよいでしょう。もう1セットの図鑑は主題別に分類して配架します。
お気に入りの図鑑を借りる児童の姿を見かけます。基本的には図鑑は主題別に分類、配架し、貸出しをして、じっくり図鑑から知識を得る楽しみを味わってもらいたいものです。

Q.配置・配架のルール

QUESTION

書架の配置、図書の配架の仕方で考慮すべきことはなんでしょう。基本のルールはありますか?

■ ANSWER

図書の配架については、書架ごとに左から右へ、かつ上から下へというルールがあります。そのためNDCにより分類された図書館の書架の配置は、0類から9類へ、時計回りに配置します。そして教師や担当者が館内全体を見渡せる位置にカウンターを設置することが基本です。その上で子どもたちの動線を考慮した配置決めをお勧めします。
『学校図書館、まずはこれから』(中村伸子・著、全国SLA刊)に図説付きで書かれていますので参考にして、より使いやすい学校図書館を目指してください。
その他、窓からの直射日光がなるべく図書に当たらないようにする、書架と書架の間の明るさが机上照度と同じ300ルクス以上になるようにするなどの配慮も必要です。窓側の低書架の上には安全上、避難の妨げになるような物を常設で置かないように気をつけましょう。

Q.ラベルの工夫と配架のルール

QUESTION

子どもたちが自分で図書を探せるようにするための、ラベルと配架はどうしたらよいでしょう?

■ ANSWER

自分で図書を探せる環境を整え、保つための工夫について、少し掘り下げて説明します。 図書に貼るラベルは、小学校などでは、0類~9類の色分けを自校で決め、10色のラベルを使用し、その色分けに従って「書架見出し」の色も統一しておくと、見た目にも分かりやすくなります。ラベルは2段のものより3段のものを使うと、3段目に巻冊記号を書き込めますのでセットやシリーズの図書などは並べやすくなり、探しやすいと思います。
配架については、書架ごとに左から右、上から下への基本に加え、1つの書架に1つの「類」、例えば0類の書架に次の1類を入れ込まないようにします。できれば「綱」ごとに棚を変え、詰め込み過ぎないようにし、ブックエンドを使って空間を作りそこに表紙面を見せるディスプレイをするのもよいでしょう。

Q.新聞は学校図書館に置いたほうがいい?

QUESTION

新聞は、小学校でも学校図書館に置いたほうがいいですか? 今までの習慣で、教室に近い廊下に掲示しているのですが。

■ ANSWER

一つの学年の廊下では、新聞を目にする子どもが限られてしまいます。学年を超えて目に付く場所として、図書館が最適です。
蔵書構成という観点から、新聞は学校図書館メディアの一つであるという認識も持ちましょう。昨年、文科省から発表された「学校図書館ガイドライン」にも明記されています。このガイドラインには、基本的なことが書かれていますので、図書館担当者は、目を通しておくことが大切です。
小学校であっても2紙とって読み比べられる、あるいは2部とって1部は掲示、1部は自由に読めるようにするとよいでしょう。例えば1か月程度とじ込みにしておいて、その後、ファイル資料を作成して保管するようにすれば、新聞活用も広がります。

Q.別置とコーナーは同じ?

QUESTION

テーマを決めて別の場所に置くことを別置というのではないのでしょうか?

■ ANSWER

別置とコーナーは、同じではありません。別置は、図書の内容、形などにより別の書架に配架すること。例えば、百科事典や図鑑など、図書館で調べたり、授業をしたりする場合に貸出されては困るような参考図書に"館内""禁帯出"などのシールを貼って、一般書架とは違う書架に置くことなど。参考図書コーナーと呼んだりするので紛らわしいのですが、図書が固定されるので、別置です。
コーナーとは書架の中でも外でもかまいませんが、利用を促す目的で、あるテーマ(学年おすすめ、季節、作家、スポーツ、国際理解、戦争など)にそって図書を一時的に集めることです。一定期間展示をしたら、速やかに元の書架に図書を戻し、活性化を図るようにしましょう。

Q.文庫・新書はどこに置く?

QUESTION

文庫、新書は、単行本とは別の書架にまとめて置いたほうよいのでしょうか?

■ ANSWER

文庫判(105×148㎜)はサイズが小さいため埋もれてしまいますので、一般書の書架のなかに混ぜずに、文庫判に適した書架に別置することをおすすめします。所蔵する種類も冊数も多い中学校・高校では、主題で分類し図書記号を著者等で付すことにより、主題による検索、著者による検索がしやすくなります。
新書判(103×182㎜)については、文庫と同様に別置しているところと、最近は、新書の種類が増えてきたこともあり、主題で分類して、別置せず書架に配架しているところも見られます。小学生向きの"○○文庫"と称される図書は、サイズとしては新書判です。別置し、主題で分類することをお勧めしますが、小学校では、所蔵する種類・数量が少ない場合も考えられます。そのため文庫ごとにまとめて配架をしているところもあります。